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温泉の入湯時間

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誰もいない風呂はのんびりできる

皆さんが、温泉に入るのに最も気持ちよい時間帯とはいつだろうか。

まあ、宿に泊まって入湯するとすれば、たいてい入湯時間は決まってくる。宿に到着してまず一風呂。お茶でも飲んでいっぷくしたところで一風呂。夕食後に酒も入っていい気分で一風呂。寝る前の一風呂。そして、早朝に目覚めの一風呂、出掛けの一風呂といったところだろう。連泊ならば、これに昼の静かな時間帯の一風呂と昼下がりの一風呂が加わる。
意味もなくだらだらと並べただけでも、それぞれにその情景は浮かんでくる。

私はお茶でも飲んでのいっぷく後かな。寝起きの一風呂も天気がよければ最高。

高い山の温泉の露天風呂は、早朝がやはりいい。

最も印象深かったのは、北アルプスの白馬鑓ヶ岳中腹にある白馬鑓温泉。ここでは、露天の直下からそのまま下界の山並みへと景観が続くのだが、幾谷かを隔てて見えた妙高方面の山々の景色が特に素晴らしかった。
この温泉は、まったくの山歩きをしなければ入れないが、登り片道が4時間程度だったろうか、その労もまったく吹き飛ぶ爽快な風呂だった。

那須連山の合間を登ってたどり着く三斗小屋温泉も気持ちが良かった。ここはそれほどの高山ではないが、相当の山奥であって、夜のランプもいいし、周囲の自然も非常に豊か。

森林の中の温泉は昼もいい。

会津の二股温泉や秋田の泥湯など、数え出したらきりはないが、明るく静かな環境で、一人湯に浸かり、野鳥の声や沢のせせらぎを耳にしながらというのも、たいへんにくつろげるもの。普段時間がなく動き回っている生活を一時でも忘れられるからだろう。透明な泉質の温泉では、日差しが湯を通して湯船の底でキラキラと、まるで小川の川底のように映し出されているのをみるのも心や安まる。

一日の疲れを癒す夕~夜の温泉はいずこであっても心地よい。
露天でも内風呂でも、街の夜景が遠く望める風呂は極上である。それだけに本当に綺麗な夜景を望める風呂はなかなか少ないけれども、飽きるほど湯に浸かってしまう。
なにも外の景色ばかりではなく、内湯のつくりというのもとても楽しめる。高価な質でなくとも、歴史を感じる様々な趣向の風呂があるものだ。

一軒の宿ながら、長年にわたって何棟もの建物を増築し、いくつもの階段や渡りでそれぞれを繋いでいる東北の湯治場の雰囲気は特別のものがある。廊下と部屋の仕切りは障子戸ひとつだったりと、セキュリティがどうたら言っている向きではとても楽しめるところではないのかもしれないが、赤いトタン屋根と木枠の窓には古びた木の手すり、そしてタオル干しの針金が張られ、各部屋から白タオルがぶら下がっている。また、自炊客のためにある食材などの販売所や炊事場の雰囲気など、どれひとつとっても「温泉」という文字から私が想像する映像そのものがそこにはある。
こういう宿に数日泊まり、朝・昼・晩と各様の温泉の一日を楽しむ余裕が最近はなくなった。

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