カヌーの楽しみ
雪解けの水が山を映す
連休、今年に入って初めてカヌーを持ち出した。
やっと水が温んだからというのではなく、気温が上がってきたのに誘われた。
山を走っていると、時折、息を呑むような湖沼に出会うことがある。
緑の木々に包まれて、ひっそりと波ひとつ立てない湖面、空の青を集めたコバルトブルーの絵の具で染めたような湖水、背後の山を逆さまに映し出した鏡のような湖面など、時間や季節によっても様々な姿を見せてくれる。
穏やかな湖面を、ほとんど音なく船体を滑らせてゆくカナディアン・カヌーは、そんな湖水に漕ぎ出して行くのにぴったりのスタイル。私の使いどころは、常にそうした静水で、激しい流れの川を下ることはいまのところ想定外。
今回は新緑と残雪を湖面に映した湖水。芽が開いたばかりで若々しい木々と、その中でさえずる野鳥たちの声の中、「チャラッ・チャラッ」っと水を掻き分けるパドル音だけ残して、カヌーが進む。
湖沼の周辺に植物たちの花がいっせいに開く季節、トンボが飛び交う季節、紅葉の季節。林道を楽しむ要素と重なって、これからも各地の湖沼を味わうのが、1つの楽しみである。
※カヌーとボートの違いはお解かりだろうか。念のため、簡単に触れておく。
ボートというのは、広い意味では比較的小さな船のことを指して使われる。漢字で書いたら舟になるのだろうか。カヌーもこの中には含まれるだろうけれど、ここでお聞きしたのはもっと狭い意味のボート。簡単に言えば、公園の池のボートとカヌーの違いである。
ボートを漕いだ時のことを想像してもらうと、船体に取り付いたオールを体から離れたところから手元に引き寄せる動作を繰り返し、舟が体の向きに対して後ろに向かって進むのが思い起こされるだろう。対してカヌーは、手に持ったパドルで前から後に水を漕いで、体の向きに対して正面に舟の進行方向がある。
この動作の違いで一番のポイントが、水を漕ぐオールないしパドルという、動力を水に伝える部分。カヌーのパドルはあくまで手の延長に過ぎず、漕ぎ手の1の力を水に1伝えるが、ボートのオールは固定部分を使ったテコになっていて、漕ぎ手の1の力を水に2倍にして伝える。
ボートのほうが力の伝達、動力としては優れるが、手の延長であるカヌーのパドルは、逆に様々なアクションをこなすことができるので、舟を真横にスライドさせることもできるなど、小回りは効く。そして何より私の使いどころのフィールドにおいては、常に前を見て漕ぎ進めることは大きな要素である。
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