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虎落笛・もがり笛 ~風の音色2~

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~暗い音色を呼ぶ風景~

電線や垣根などに強風が当たるとき、「ヒュー」というあの高い音、笛のような音を虎落笛という。特に冬の季節風による、暗く悲しげな風景がもっともイメージに合うし、冬の季語にもなっている。

映像として頭に浮かぶのは、鳥取のような砂丘地域で見られる、砂防のヨシズが立てる悲しい音。
砂丘の良く発達した九十九里近隣に住み、砂丘景色も良く目にしているが、なぜか、私の頭には冬の日本海の荒涼とした悲しい景色、そして重く暗い陰鬱な空のイメージが、原風景として染み付いてしまっている。

虎落笛とは、おもしろい字を書く。敵対者や獣の侵入を阻む竹矢来などを古来、虎落と言ったらしく、こうしたものの立てる笛の音に似た音というのが、名前の由来なのであろうか、文字の形、読んだ音の響きとも、非常に寂しさ、悲しさを感じさせる名前である。

虎落笛も空気の作る渦の音。季節風が何かに当たって、その後ろにできる空気の渦が出す音である。
季節風が強ければ強いほど、空気の裂け目は大きく、悲鳴に似た笛の音は大きく泣き叫ぶようになる。

まだまだ、この悲しい音色が似合う季節がしばらく続く。


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コメント

 またまた、作家の根古津甲斐です。
 虎落笛(もがりぶえ)のことをお書きになるとは、なかなかお代官様も風流ですね。
 私もこの字(虎落)を「もがり」と読むと知ったのは、三十歳を過ぎてからです。
 よく、時代劇で「もがりの・・・」とかいうヤー公の類が出ていたのに、その字が長年の謎でした。
 さて、お代官様のエッセイの趣旨は風、それも荒涼たる風景の中で鳴る、うら悲しき音のことと、理解しました。
 私も、作家と称して各地を旅して廻っておりますが、冬場にローカル線の一日の停車列車が5本程度の無人駅に降り立つと(ただし、海岸線を走るものに限る。)この、寂しげな音をよく耳にします。
 また、その鉄道が特急列車だけはよく走る線区であると、1時間から、ひどくなると30分ごとに近代的な特急の走行音と、汽笛、それも昔の「プオーン」という音ではなく、小田急ロマンスカーのような電子音が響き渡り、その後に近代化の間に置かれた、地方の怨念のような虎落笛の葬送曲を聴くことがあります。

投稿: 根古津 甲斐 | 2005.01.08 15:21

ちょっと温泉へ行ったり風邪ひいたりで、ここにご無沙汰してしまいました。
さすが、得体の知れない・・・いやいや、神出鬼没な作家の根古津甲斐さん。ローカルな幹線を通りすぎてゆく特急列車の姿が、まさしく目に浮かぶようです。葬送曲ですか・・・あまりに物悲しい・・・
私、深夜に帰宅電車の乗り換えを寝過ごし、はっと気づいて降り立った真っ暗な無人駅のホームで、虎落笛ではなく、「ザザ~ン・・・ザザ~ン」という、寂しげな潮騒を聞いてしまうことが、ままあります。
これはこれで、物悲しいですよ。

投稿: 代官 | 2005.01.12 21:56

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