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ホタル・房総のヒメボタル

N20050625_018-1
~房総のヒメボタルを見てきた~

梅雨もなかば、蛍の季節である。
家の近くでも、ヘイケボタルが舞う季節となった。

蛍にも国内で30あまりの種があるそうだが、そのうち夜行性で、目だった光を放つ種類となると、それほど多いわけではなく、広く知られるゲンジボタルとヘイケボタルは、なかでも際立った存在なのである。また、この2種は、幼虫が水中で生活し、カワニナなどを食していることもよく知られているが、他のほとんどの蛍では、幼虫が陸生であり、枯れた木の葉の下などに住んでいる陸生のキセルガイ貝などを食している。

蛍の光りかたは各種様々で、成虫では(幼虫も光る)繁殖期の雌雄の交信に使われるのであるが、ゲンジボタルでは、雄は明滅を同期させ、同期しないものを雌と認識。ヘイケボタルは、明滅パターンを雌雄で変えてそれぞれ相手を認識するものと聞く。また、ゲンジボタルは特に明るい光を放つ蛍だが、西日本と東日本ではかなり明滅間隔に違いがあり、西日本のゲンジボタルが2秒程度で明滅するのに対して、東日本のものは4秒くらいで明滅する違いがあるらしい。

もう一種、よく光る蛍に、ヒメボタルが挙げられる。この蛍は、幼虫は陸生で、比較的高地に住み、その光はゲンジボタルやヘイケボタルのゆったりした明滅と違い、フラッシュのように鋭く瞬くという。そして、雄の光に雌が応答して交信するらしい。

さて、房総のヒメボタルであるが、知人から、房総の内浦山県民の森でヒメボタル観察会があるという耳寄りな話をいただき、昨晩のことであるが、それに早速参加してきた。

まず、ゲンジボタルやヘイケボタルが宵闇のころから飛び始めるのに対して、ヒメボタルは、真の夜の闇が訪れる21:00ごろにならないと光りださないようであり、観察会も本番はその時間からの行動となった。また、わずかな光も嫌うようで、外灯など人工光の届くところや、月の明るい晩などには現れることはないとのことであった。

房総のヒメボタルの特殊性は、その生息地の標高にあるようだ。ヒメボタルは元来、概ね500~1000mを越えるような比較的高地に生息し、その観察も容易とはいえないということであるが、房総にはそのような高地自体が存在しないし、まして、今回の観察地である林道奥谷線などは、せいぜい標高100~150mほどしかない土地柄である。

確かにこの、清澄山周辺は、他県の地域であれば、本来ずっと標高の高いところにしかない植生や生息地が、やけに低いところに見られることが少なくない不思議な地域ではある。氷河期や寒冷期からの残存種であろうという説明がされていると思うが、このヒメボタルの特殊性も同様なのかもしれない。

さらに、この房総の地でのヒメボタルについては、わずかに昭和30年代の高校の生物部の記録に残っていたという以外には、標本もなく、長くヒメボタルの生息は否定的に考えられてきたのである。ところが、昨年6月に生息が明らかにされ、これを調査してみると、東日本では最大級の生息地なのではないかというのである。

昨日は、21:00を時計が回るころ、団体行動で林道を歩いた。普段走りなれた林道とはいえ、初めは目が暗闇に慣れなかったが、しだいにわずかな光でも足元が分かりかけてくるころ、これまでに見たこともないような光りかた、ほのかな光を閃光のように放つ蛍を見ることが出来た。
確かに、ゲンジボタルやヘイケボタルとは、光り方が明らかに違う。光る間隔が極めて短く、パッパッパと瞬くように光るのである。何十、何百匹と多量の個体を見られたわけではないが、ヒメボタルは房総に確かに生息していたのだということを目の当たりにし、大きな満足を持ち帰ることが出来た。

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受信: 2005.10.06 21:50

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