ツバメ巣立つ
~一人前にはあと一息か、ヒナツバメたち~
仕事の平日は、恨めしくもカラリと晴れ渡っていたが、せっかくの休みとなると、なにやら浮かない空模様ではないか。やれやれ、またかと思いつつ、朝の空気を吸いにベランダに出ると、いつになくあたりが騒々しいのに気が付いた。
羽虫の大群でも発生して、餌取りのツバメが大騒ぎなのかしらとか思いながら、何だろうと家の周辺を見渡すと、電線に6羽の小ぶりのツバメがちょこんと揃って並んでいるのが目に留まった。
けれど、彼らは特に騒がしいわけでもなく、各々が、あたりを見渡したり、毛づくろいしたりとくつろいでいる様子だった。
はて、さっきの騒がしいのは彼らではなかったのか?そう思っている間もなく、くつろいでいたかのように見えた6羽のツバメたちがいっせいに「チーチーチー」と尋常でなく騒ぎ立てながら、その場で羽をばたつかせている。
スーっと黒い一筋が目の前を横切って、6羽の元に近づくと、騒ぎは一層けたたましくなった。
冷静な目を取り戻して、よく見れば、親ツバメが餌の小虫を運び巣を出たばかりのヒナたちに与えているのだった。ヒナツバメたちには、今日は初めての外遊日だったのだろう。ずっと電線の一箇所で動かずに親の帰りを待ち、かわるがわるに帰ってくる両親が餌を持って近づくと、我によこせとばかりに体全体でアピールしている。
その電線にとまっているのであれば、自らも飛べるのだろうに、まだ、餌を捉える術を知らないのだろう。ひたすら、他力本願で、かつ、堂々と餌を要求している。
それでも、数ヶ月前に孵ったヒナたちは、いまや自分で飛べるまでになって、今、巣を一歩出たところだ。それもまもなく、自分で採餌することも覚え、親からも離れて巣立ってゆく日が遠くはないのだろう。
比べてしまうのは、人の成長の遅さ。これはなんとも長いものだ。20年、下手をすれば30年以上たっても、まだ、子供と変わらないつもりでいる、抜け出せずにいる人間達が実際にいる。
生物学的には進化と幼形成熟化の問題というのもある。また、社会的には、ひとり立ちできない成人の増加の問題。
様々な人の成熟に関する問題が頭の中で錯綜した朝だった。
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