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アリジゴク

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~新居の軒下で見つけたアリジゴクのすり鉢~

居宅を引越して1週間が経つ。家の中はまだ落ち着かないのだが、ようやく庭に目が行く余裕も出て来たので、しばし、ゆっくりとわが庭を見て回った。

すると、ほとんど雨が降り込むことがなさそうな軒下の砂地に、ちょっとうれしいものがあるではないか。そう、そこにアリジゴク特有のあの円錐すり鉢が掘ってあった。子供の頃は、神社やお寺の縁の下によく観察に行ったものだが、これが自分のものとなった庭に生息しているとなると、特別に珍しいわけではなくても、小さな昆虫の些細な営みでも、身近な自然に愛しさが高まる。

さて、アリジゴクは、ご存知のようにウスバカゲロウの幼虫である。ウスバカゲロウは、名前は有名でも、姿を見たことのある方は少ないかもしれない。短命として有名であるのだろうが、幼虫から数えて2~3年は生きるので、昆虫として、特に短命な部類ではない。同じ短命を儚まれるセミもそうなのだが、成虫の姿というものが、生殖のためにあるのであって、セミもウスバカゲロウも地面の中の昆虫なのだと思えば、印象はまた変わる。

もっとも、成虫期が短くて短命といわれるのは、実はウスバカゲロウではなく、川にいるカゲロウの仲間のほうで、これは名前は同じ「カゲロウ」だし、形は、同じくトンボ型に見えるので、近縁と思われがちだが、ウスバカゲロウは、トンボやカゲロウとは違って、完全変態(サナギになる)をする昆虫である。

アリジゴクの戦略は、罠と待ち伏せ。罠のすり鉢に落ちたところを、砂を掛けて底まで落とし、体液を吸ってしまうのは、みなさんご存知のとおりであるが、特にアリでなくても構わない。同様に肉食のナナホシテントウ(アブラムシを捕食する)などでも、すり鉢に落ちてくれば、アリジゴクは容赦なく食べてしまう。

あのすり鉢を作るところを観察した方も、少なくないと思うが、後ろ向きに螺旋を描きながら見事に掘ってゆくのは芸術的。砂の質が崩れやすいかそうでないかで、すり鉢の穴の角度や大きさなどが変わってくる。

ひとつ、驚くことがある。アリジゴクは、やがて砂を糸で固めた繭の中でサナギになり、その後に羽化するのだが、幼虫期~蛹期を通して、ずっと排泄をしないのである。つまり、ウスバカゲロウは、生まれてから成虫になるまで排泄がない。そもそも腸に排泄口がないようだが、これは、あまりにヒット数の少ないすり鉢の罠からの少ない供給ということを考慮しての飢餓持久策なのであろうか。
おかげで、アリジゴクのお腹は丸々と太っている。

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