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アリの土盛り(その2)

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~不思議な行動の意味は?~

前回の続き、アリの土盛りの話である。アリが少し大きめの食物を発見し、これを搬出する際に、食物に覆いかぶせるような土盛りをしているようにみえるが、これはいったいどういう意味があるのかということだった。

子供の頃から不思議には思っていたのだが、一方で、あまりに普通に見かけていたためか、当たり前の習性のようにも感じていて、調べたこともなかった。
そこで、まず手許のいくつかの書籍をあたってみるが、それらしい記述はまったく見当たらなかった。
アリの生態といえば、まず、社会性のある営巣システムが大テーマであって、ほとんどの紙面がこれに割かれている。

やむなく、ネット上を検索してみるが、探し方が悪いのかソースに信頼性のないものまで含めても、この点に触れたものは多くは見当たらない。数少ない記述の中から、要点だけ拾ってみると。

①多数のアリが食物の周囲を取り囲むように活動する際に、土が外周に寄せられる跡である。

②アリは、清潔を保とうとする本能的志向が強く、活動範囲内に腐敗物と認知されるものがあると砂を掛けて封じてしまう。死臭を放つ死骸は、彼らにとって腐敗物に過ぎない。

というような趣旨の記述が少数ながら見つかったくらいである。いずれも各筆者が質問に答えるような形で受動的に書かれたもので、主体的に記載したものではないにしても、実観察した状況とはあまりにかけはなれていて、失礼ながらおよそ満足のいく回答とはいえない。

①説は、そもそも、今回のセミの幼虫の亡骸解体はコンクリートの上で始まったのであるから、これほど多量の土は偶発的結果によっては集まりようもなく、アリがわざわざ運び込んだものであることは明白であるので肯定できない。おそらくは、下地が土の場合でもまったく同じであると思われる。

②説は、実例では、最終的にセミの幼虫の肉質部分がすべて持ち去られていることだけからしても、アリたちは対象物を、あくまで食物とみていると思われ、食物でないとしても利用できる有用なモノであるはずで、腐敗物と認知する前提に明らかな誤りが認められてしまう(清潔志向を持っているという前提自体は正しいと思う。)。

そういうわけで、人の知識を借りようとしたのであるが、思いのほか難問であったのであるが、私は、次いで、長男に意見を求めてみた。
すると、当然のような顔で即答が返ってきた。

彼がいうには、アリは自らの巣まで直ちに搬送できないサイズの食物を発見すると、これを確保するために、自分達を識別し得る特定成分のフェロモンを付着させた土を掛け、他の採食者を排斥しようとするのだという。いわゆる「つばを付ける」ということか。

なるほど、アリの社会行動の根幹は、このフェロモンの交換による情報伝達によっているのであるから、あり得そうな話ではある。ようやく、一理ありそうな説を得たが、はたしてこれは、どこから仕入れたものであるのか。

ところで、例のアリの土盛りには、その後雨が掛かってしまったが、数日して、これが乾いたころ、残った土盛りの跡を調べてみると、中には既にセミの抜けがらさえ残っていなかった。あのセミの外皮さえも食す又は利用し得るというのだろうか。

アリも種類が少なくはないから、種によって違いもあるのだろうと思う。結局、今回は疑問を呈しただけで終わってしまったが、今度、機会をみつけ、この「つば付け説」を一応の目安として、その検証をしてみたいものである。

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コメント

ずっと放置していた話題でしたが、今夜のNHKの「ダーウィンが来た」で、この件が取り上げられていました。
解答は、小さなアリ(TVノ例ではトビイロシワアリであった)が、大きくて直接運べない餌を、小分けにして自らの巣に運ぶに当たって、その作業の間、餌を他のアリから隠して確保するために砂を盛るというものでした。
なかなか、面白い習性ですね。

投稿: 代官 | 2014.08.17 21:01

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