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トリバガ

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~なんとも奇怪でいけてる蛾~

魔界の昆虫が現世に紛れ込んでしまったかのような、トリバガ科の蛾はそんな容姿のなかなかいかした蛾である。

なんといっても、とうてい蛾とは思えないような細い翅が変わっている。体つきや足だって、細く長くてこれではガガンボとほとんど区別もつかないのではないか。個人的には足元に生えた棘と翅に少し生えているふさふさが、トゲトゲブーツとマントに見え、いかにも悪者っぽいところがお気に入りだ。

画像は10月に撮影したもので、この仲間は種の見極めが難しいが、おそらくは「ブドウトリバ」だと思われる。あまり見かけないようにも思えるが実はそうでもなく、ブドウの栽培上では特に幼虫の食害が問題となり、非常に敵視されるわけであるが、それはそれとして、単に生き物の多様性の視点でみたら、やはり、これはいかした昆虫としか言いようがない。

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ホームズ彗星の拡散

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~その見かけの大きさ満月大~
(07.11.13 APS-C500mm画角で撮影)

最初見たときは、視面積を持った恒星のようだったホームズ彗星だったが、アウトバーストを起こして吹きだしたガスはどんどん拡散し、日を追うごとに見かけの大きさが大きくなってゆくのが分かる状態が続いていたが、それもとうとう満月と同じの大きさにまでなってしまった。

拡散するにつれ、面積あたりの光度は低下してきており、全体の明るさは最も明るかったころの2等台からだいぶ暗くはなった。それでも、まだまだ肉眼でもよく見えるし、双眼鏡なら視界に大きくその姿を見ることができる。

もちろん、カメラで充分露光をかけると、まぶしいほどに明るく撮影できるので、まだまだ楽しみは続く。

ところで、あの長く尾を引く、通常の彗星の姿というのはよく知られたところであるが、他の天体との実際の大きさを比較すると、いったい、どのくらいのものであるのか、あまり意識したことがなかった。

現在(07.11.13)、肉眼で見えるガス部分がだいたい満月と同じくらいの視直径であり、データを拾うと、ホームズ彗星までの距離は、おおむね1.6AU(1AU=1天文単位は、地球と太陽の平均距離)ということだから・・・なんと!月と比べようかと思ったのであるが、月と太陽は概ね視直径は同じであるわけだから、ホームズ彗星のガスの広がりの実際の大きさは太陽の直径の約1.6倍ということか。まったく想像外の大きさだ。
ちなみに、現在の月までは約0.003AUで太陽までは0.990AUということであるから、それぞれの地球からの距離の数値がそのまま直径の比になるはずだ。

もっとも、今回のホームズ彗星は、尾が地球からの見た目で主に真後ろの方向に伸びていてるらしいと前回書いたが、つまり、上記の直径というのは、彗星を正面から見たときのあの彗星の頭の部分の太さとは限らず、後ろに伸びた尾が広く拡散したものであるのだとは思う。

今回のホームズ彗星は、その明るくなった原因や見る方向のため形こそ変わっているが、見た目の大きさそのものが他の明るくなる彗星と比べて、特に大きいというわけではないと思う。彗星というものの大きさをあらためてよく考えてみると、みなこんなに大きいものであったわけだ。確かに、地球の軌道に極めて近くを通る彗星などは、空いっぱいに広がることもあるくらいだ。それにしても、意識したことがなかったとはいえ、予想外のサイズである。

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ホームズ彗星

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~彗星はもともと突然現れるがこれはかなり特別~
(07.11.04 APS-C500mm画角で撮影)

突然の訪問者に驚かされた。10月末に急激な増光(アウトバースト)が見つかり、その後さらに増光したホームズ彗星である。
増光直前の17等級という明るさから、一気に2等級後半くらいまで明るくなった。1等級は6等級の100倍の明るさで、1つの等級の差は約2.5倍であるから、実に14等級の差はなんと40万倍もの増光があったということになる。

彗星という天体は、太陽を1つの重心とした楕円か双曲線の軌道をを描く、汚れた雪だるまのようなイメージのもので、明るく見える彗星の多くは、遠方から飛来して太陽の近くまでくると、その構成物をガス状に吹きだし、それが太陽風に流されて太陽とは反対方向へ尾を形成する。尾は、彗星自体の進行方向とはあまり関係がない。あくまで太陽と反対方向へ延びているところがポイントである。

通常の彗星にしても、急に明るくなること自体は変わらない。まさに彗星のごとく現れる。しかし、それは、上記のように太陽に近づいた結果として、近づくにしたがい比較的急に増光してはゆくが、ほんの数時間、数日でこんなに大増光することはない。

今回のホームズ彗星は通常パターンでいま見えているのではない。この彗星は、さほど細長い楕円軌道ではなく、離れても木星の軌道付近、近付いても火星の軌道付近より外側という具合に、木星の重力で捉えられたような軌道を回る彗星のグループの1つであると思う。今年の5月に既に太陽に最接近し、現在少しづつ離れつつあるところであるが、なんらかの弾みで、その構成物を急速大量に放出したものと思われる。

そして、面白いというべきかどうか、ちょうど太陽からみて地球の向こう側の位置にあるため、地球からは真後ろに尾を引いている位置関係となり、その尾を長く引いた見慣れた彗星の姿ではなく、まん丸ななんだか不思議なガス体が宙に浮かんでいる感じである。
11月4日に双眼鏡や望遠鏡で見たところでは、満月の半分くらいのぼんやりした見慣れぬ物体としてペルセウス座の方向に見え、肉眼でも、一見比較的明るい星、よく見るとぼんやりと面積を持った天体に見える。

このような彗星の大増光を見ることが出来るのは一生のうちにもそうはない。ここ数日の間、この突然の訪問者の不思議な姿を楽しく追っている。

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つきしろ(月白)

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~秋はやはり野の草と月~

文字の上で、月のイメージはいつも幻想的である。あるときは煌々と、またあるときは朧げに、その青白い光から発せられるものが、見上げる者の心に対して、清廉でいることを求めている意思さえ持っているような強い印象でありながらも、あくまでも静かであって冷淡である。

このところ、日本の「かぐや」をはじめ、各国で最新の技術を盛りこんだ探査機器が次々と送り込まれていて、にわかに注目を集めている月ではあるが、地上から見上げる姿は、いつも変わらない。

さて、秋の野の草をかき分けて進むと、セイタカアワダチソウとススキの向こうから、ぽっかりと月が浮かび上がってきた。満月ではないのだが、秋の草の色、そして青い空にもぴったりくる。

秋の野と月といえば、脳裏に浮かぶのは、いつのころだったか、一面のススキ野原の向こうから満月が昇り、銀色の穂が風に静かに揺れながら、月の光にさあさらと光っていた光景である。あのような素晴らしい光景を、また何処かで見たいものだと思う。
月の光はそのときも幻想的だった。

満月かそれよりいくぶん暦の進んだ月が昇る直前には、山の端や地平の向こうの東の空が、ぼんやりと明るくなるのを見ることができる。この明かりを「つきしろ」というが、しろには「白」を当てるのか「代」なのかよく知らない。月で空がうっすら白むのだから、「白」でよさそうな気はする。
ともかく、つきしろとは、またまた、幻想的な響きのある名前である。

ただ、そうはいっても、いざ地平から月の本体が昇ってくると、これがまた白ではなくて、夕日のようにおどろおどろしく赤い月が昇ってきたりするから、そこにはまた別のインパクトを覚えるものだ。

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