テイカカズラの綿毛
冬になると自宅周辺に花や昆虫の姿は少なくなるが、それでもカメラをぶら下げて野山を歩く。生き物たちの姿が少ない時期だからこそ、かえって小さなものにも目が届くものだ。そう、むしろ生き物の姿が豊富な夏よりも、冬や早春の方が自然の姿を細かいところまで観察しているといえるかもしれない。
冬に杉林などを歩いていると、何度となくテイカカズラの綿毛に出会う 林床にきらきらと光るものが目に入って、おやっと思って近付くと、どこから飛んできてここに落ちたのやら、この大きめの綿毛が風でふわふわとそこで揺れている。
綿毛の代表といえばタンポポだろう。タンポポの綿毛は、小さな種から一本真っ直ぐに伸びた軸の先でぱっと広がった形をしているが、このテイカカズラの綿毛は、細長くて少し大きめの種からいきなりブロンズの髪のように生えている。また、冬の野でよく見かけることのできる大きな綿毛として、もうひとつアザミの綿毛もある。アザミの綿毛は、毛の一本一本が鳥の羽のように更に細かく枝分かれしているのであるが、テイカカズラの綿毛は、しなやかな毛が長々とストレートに生えている。
テイカカズラは、本州~九州の温暖な地方に分布するつる植物で、他の樹に這い登り、樹の高いところで5~6月頃に白いジャスミンのような香りがある花を咲かせる。テイカカズラという名前を聞いたとき、もしかして藤原定家なんてことは?と思ったが、調べてみると案の定、藤原定家が生まれ変わったものだという話が出てくる。
地に緑の少ない時期ではあるが、緑色のコケの上などに降り立ったこのブロンドの大きな綿毛はとても目だっていて、見つけたときは、いつも輝く毛の繊細さにしばらく見とれてしまう。
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