ジョウカイボン
なんともほのぼのした名前の昆虫である。普通に見かける昆虫であるとはいえ、あまり世間に知れた昆虫ではないのだが、昆虫の名前によくありがちな「○○モドキ」とか「ニセ○○」といった、二次的である上に偽者よばわりされているみたいな名前ではなく、また、他の動植物でも広く使われている一般名詞等に「トリ」や「ウオ」や「クサ」などをくっつけた名前「○○ムシ」でもない、りっぱな固有名詞が与えられている。
ジョウカイボンは、見てのとおり、一見カミキリムシタイプの細身の甲虫であるが、他の昆虫を捕食する昆虫であるということで、完全な植物食であるカミキリムシの仲間とは明らかに違う。近縁ということでは、ホタルに近い仲間であるとされるが、それこそ完全な肉食のホタルとも違い、植物性のモノをまったく食さないわけでもない。
林道脇にも、家屋周辺の野原にも、わりと普通に見られ、甲虫の割にはよく飛び回る。特によくみかけるところというのは、葉の上や花の上であり、何をしているかというと、こうしたところにやってくる他の昆虫を捕獲するために待ち伏せているのである。
ところが、待ち伏せしているだけかと思いきや、そのまま花の花粉を食してしまうこともあり、これを雑食といっていいのか、肉食又は草食のどちらかから、他の一方へ移行しつつある種といっていいのかも分からないが、なんにせよ、あまりぱっとしない昆虫という印象はぬぐえず、それが知名度の低さにも現われているのだろう。
「ジョウカイボン」とはなにかというと、漢字で書くと「浄海坊」になるようで、これは平清盛の法名でもあるらしく、平清盛が熱病で転げまわって死んだということと何とか繋げて、名前の由来が説明されているのをいくつか見るが、どれをとっても、なるほどとうならせるものは見当たらない。
近縁種のホタルに平家と源氏があることとも、多少は関係あるのだろうかという気も起きるが、もともと和名にゲンジやヘイケは付き物だから、まったく関係ない気もしてくるし、結局、名前の由来はよく分からない(諸説は検索ででも探してみてください。もし、おお!っというのがあったら教えてくださいね。)。
昨日走った林道でも、路面脇の草にしがみついているジョウカイボンに出会ったが、名前の由来はともかく、林道で昆虫の観察をしている身には、とても馴染み深くて、かわいらしい昆虫である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント