カブトムシの角
山の朝、霧の空気に肺が洗われるように思われた。霧の森、天井から朝の光が条となって差し込んでくるのを見上げながら木々の間を歩いていると、一匹のカブト虫に出会った。
ずっと、見慣れてきた形であるからという理由だけなのか、それはよくわからないが、日本のカブトムシの角は、とりわけ均整のとれたものであるように感じられる。
そんなことを思いながら、カブトムシの角をまじまじと見てみる。大きな角は、頭部からすっとまっすぐに伸び、先のほうで2つに分岐し、分岐した先端で更にそれぞれ分岐する。
そして、小さな角が胸部からせりあがるように持ちあがって、これも先端で2つに分岐し、大小の角は、それぞれ互いの方へ向かって反るような形状で、ものを挟み込むこともできる。
これはどのような志向でデザインされたものであるのだろうか、または、どのような必然性があって進化とともに形作られたのだろうか
この形が美しいのかどうかはともかくとして、このような形状を作りだす生命には不思議を感じざるを得ないが、そこには、他の生物のデザイン一般ともどこか共通した、成形における一定の秩序が隠されているように思えてならない。
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