カマキリの偽瞳孔
カマキリの目は、なかなかいかしている。
カマキリを間近で見慣れている方はよくご存知だと思うが、大きな目の中に人の目の黒目と似たように小さな黒い点があって、その点がこちらを向いて、注意深く様子を窺っているように見えるのである。
しかし、昆虫であるカマキリの目は、人とは違い複眼であり、小さな目が球状に集まっているその全部が目であって、人の黒目(瞳孔)と同じようにそこだけが見えている場所ということではない。
実はこのカマキリの目の中の黒い点は、それ自身の構造的なものなのではなく、カマキリの目を観察しているこちら側が、球状に集まった数ある複眼の中でそのあたりだけ奥まで見通せるという角度の部分であり、その結果として、光が返ってこないから黒っぽく見えるというわけで、単に観察者側にだけ見える見かけ上のものに過ぎないのである。
そして、この黒点を偽瞳孔といい、その他の部分は、観察者の目からは奥まで見えないので、個々の目の内部の反射光で明るく見えているに過ぎないのである。
試しに、こちらを向いているカマキリの偽瞳孔を観察しつつ、同時に手に持った鏡で違う角度からカマキリを覗き込めば、そこにもまた、鏡を通してこちらを窺っていると感じる位置、つまりは実像とは別の場所に偽瞳孔を見つけられるだろう。
ただし、カマキリの目には、これとは別に、夜になると複眼全体が黒っぽくなり、これによって総合的な集光力を上げられるという面白い能力も持っているから、なかなか侮れないところもある。
偽瞳孔は、トンボやバッタなどにも見られるのであるが、カマキリのものとは若干状態は違う。カマキリの偽瞳孔は、本当の瞳孔を見慣れている人間にとって、人の目の瞳孔とかなり似ているから、それがいつもこちらを見ているように感じる分、ちょっとした親しみなど感じてしまうものである。仕組みがどうであっても、この偽瞳孔のために、カマキリの表情を豊かに見せていることは間違いない。
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コメント
はじめまして。
生き物好きの息子の為に、画像や記事を検索していて、こちらにたどり着きました。
楽しい記事をたくさん書いていらっしゃるのですね。
そして、どれも、詳しく書いてあって脱帽です!
林道百拾号線を、自分も歩いてみたくなってしましました。
カマキリの目は、そんな風になっていたんですね。
息子がよく「こっちを見てる」と言っていましたが、教えてやらねば!
夜に真っ黒になった目の方が、なんだか可愛く思えます。
またお邪魔させてください。
投稿: ボブ | 2008.09.21 09:40
ボブさん、コメントありがとうございます。
生き物好きの息子さん楽しみですね。
私も自分の息子が小さい頃は、一緒に歩いて
共に自然を楽しんだものでした。
いろいろ教えながらも、結局、同時に自分も、
いろいろと学べるんですよね。
カマキリの目は、仕組みでいったら
記事に書いたとおりかもしれませんけれど
やっぱり、こっちを見てるってほうが
自然な感想なんでしょうね。
私だって、そうとしか見えませんもの(^^ゞ
投稿: 代官 | 2008.09.21 14:26