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越年(オツネン)

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~冬を越すトンボ~

オツネンとは、文字どおり、古い年を送り新しい年を迎えることで、ふつう年越しともいう。最近は、「越」の字の一般的な音読み(当用漢字音訓表の読み方)に倣ってか「エツネン」と読む傾向にはあるが、伝統的には、「越」の呉音である「オチ」から「オツネン」と読んできた言葉である(ちなみに「エツ」は漢音である。)。

ところで、日本の生き物たちの生活は、移り行く四季に大きく支配され、特に年の変わり目となる冬を越す方法は、その種の繁栄のための戦略にも大きくかかわる。

昆虫たちは、基本的に冬は苦手であり、寒い冬を、卵、幼虫、蛹などの姿で越すものが多い。トンボや蝶のような昆虫が日本の冬に元気に飛んでいるということは、めったにあることではないのである。

写真の細いトンボは、「ホソミオツネントンボ」といい、成虫の姿で越冬する数少ないトンボである。蝶の仲間には、アカタテハの仲間など、成虫の姿で冬を越すものが案外いるのだが、日本のトンボの中で,ほかに成虫で越冬するのは,ホソミオツネントンボと同じアオイトトンボ科の「オツネントンボ」と、イトトンボ科の「ホソミイトトンボ」の3種だけとされる。

そうはいっても、真冬にこれらのトンボの姿を見ることは、そうはないだろう。彼らも冬は日当たりの良い斜面などで休眠しており、気温が上がったときだけ活動しているようである。

ホソミオツネントンボは、褐色の成虫の姿で越年し、早春、15~16度になると活動を再開する。そして気温が一定の温度になると全体に青色を呈するようになり、この青色は美しい。しかし、低温が戻ると、体色が褐色に戻ったりすることもあるらしいから面白い。

春先に、野山を歩き年を越してがんばってきた彼らに出会うのは、なんとなくうれしい気がするものである。

ほかに「越年」が名に付くところで「越年蝶」がいるが、これはモンキチョウの別名で、モンキチョウは幼虫で越年するところ、比較的早春のうちに成虫になるためか、成虫の姿で越年するように勘違いから呼ばれた名であるようである。また、アブラナやハハコグサなどのように、秋に発芽して越冬した春に開花する草を「越年草」という。

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