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霜凪

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~強風の夜に霜柱はできるだろうか~

朝、盛り上がった土を蹴飛ばすと、キラキラ光る銀の針がザラザラっと現れる。小学校のころの冬の朝には、いつもこうして、あちらこちらで枯れ草に霜の降った白い野原で、霜柱を蹴飛ばしながら登校したものだった。

霜も霜柱も、同じく氷であることに違いはない。しかし、霜柱は地中の水分が上ってきて凍り、霜は大気中の水蒸気が地表で氷結するものであるというように、同じ氷とはいえ、その生成に際して元の水の出所にはかなり違いもある。では、果たして、これらがそれぞれ生成される気象条件というのはどうだろう。一見すると、さほどの違いはないようにも思うのだが、どちらも一定の温度条件さえ整えばいいだろうか。

この点については、一方は空気、一方は土という違いが、何にどう影響されるかということになろうかと思うけれども、温度以外の条件では、経験的に風があるとたぶん霜は降らない。では、風があると、なぜ霜ができないか。また、土の中の霜柱もできないのだろうかというあたりがポイントになるかもしれない。

「霜降る夜に」などというが、霜がよくできるのは、放射冷却の強い夜である。放射冷却というのは、地表物の熱が赤外線として天空へと放出されていき失われることで冷えるものである。だからそれが起こり易い夜というのは、よく晴れていることはもちろん、風は穏やかで無風に近い必要がある。風が吹いて地表より少し上の冷却されていない空気が地表の空気に取って代わる、つまり、かくはんされると、地表が温められることになるからである。

このような放射冷却は、気象的にみると、広く高気圧に覆われた中心付近にあるときに起きやすい。高気圧の中心付近は、よく晴れるし、風もなく絶好の条件が整うことが多いからである。そして、このように高気圧に覆われて穏やかな冬の夜を「霜凪(しもなぎ)」という。まさに、霜のでき易い夜をよくあらわした美しい響きの言葉だと感心する。

とはいえ、これも一面であって、葉物を扱う農業では、霜凪は決して歓迎されるものではない、対処をしないと死活問題ともなる。東海道新幹線や東名高速を走る車の車窓から、静岡県内でよく目にする茶畑のファンをご存知だろうか。あれは、こうした霜凪に対処するために設置された畑の空気かくはん機であるわけだ。

結局、こうして考えてみると、気温がそれなりに低くても、風のある夜は地表の温度が下がらないため、霜ができにくいということだから、同じく風のある夜は、霜柱もまたできにくいように思われる。しかし、更にずっと寒い時、風が吹いて空気がかくはんされようがされまいが、空気全体が氷点下であるというような、厳しい寒さの中ではどうなのだろうか、厳冬の地に育っていないので、そのあたりは正直なところよく分からない。周辺の空気に対し、地表だけが冷えているのでないなら霜はできなそうだが、霜柱のできる地中は、少し違うような気もするのだが、このへんは、また、後の課題としておこう。

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