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落トンボ

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~11月の沈む夕陽に~

11月ともなると、野山はすっかり寂しげな色を呈し、草むらに踏み入ったときの枯れ草の匂いや、驚いて飛んでいくイナゴやバッタの姿、風もないはずの静かな林にカサカサと落ちる枯葉の音に、ああ秋も深まったなあと思わずにいられない。

そんな晩秋の野原にも、まだ、アカトンボの姿を見ることができる。赤とんぼと呼ばれるアカネ属のトンボたちは、思いのほか秋遅くまで、あるいは初冬までその姿を見ることができる。

秋真っ只中の10月には真っ赤に染まっていた身体も、秋が終わりを告げるころには、赤ワインのような深く沈んだ濃赤となり、翅もあちらこちらが破れている。

夏に羽化した頃は、まだ若く機敏で、少し近づいただけでも、さっと飛び立ち近寄りがたいが、このころになると、重ねた経験の余裕なのか、気温が下がって代謝が低下しているからか、事情はわからないが、かなり近づいても逃げたりせず、何だか歳で気力が低下してるようにも感じさせる。

繁殖期も終え、次世代へ命を繋ぐ役目を無事に果たした彼らには、残された日々をゆるりときままに過ごさせてあげたいが、さして遠からず冬が来る。

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