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月食の色(ダンジョン・スケール)

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~茜色の皆既月食~

昨晩は、すばらしい皆既月食を眺めることができた。
東日本を中心に晴れ間に恵まれたようで、我が家の周辺でも低空には薄雲も見られたが、うまい具合に月のある天頂付近にほとんど雲がなく、高い位置で起きる好条件での皆既月食を堪能できた。

月食は日食と並んで注目度の高い天文現象ではあるが、皆既日食の地域限定性と視覚上のインパクトからすると、皆既月食といえども、やや地味ではある。
とはいえ、やはり、そうそう目にするものではないから、非日常的な感動があるし、まして、久しぶりの好条件。皆既前の欠け始めからじっくりと眺めさせてもらった。

本当に頭の真上のような高い位置にある月が、どんどん欠けて行き、明るい部分がなくなると、月は、極めて暗くなるものの、見えなくなるわけでなく、なんともいえない色合いを呈していた。
昨晩の皆既食中の月の色は、私には少し明るめの茜色に見えたが、同じ月を見た方はどう見えただろうか。

月食は日食と違い、観測地によって欠ける時間や見え方が大きく変わるようなことはない(もちろん、月が地平線近くに見える観測地では、暗く赤くなりやすいという違いはあるが)。上の写真は、我が家(千葉県)から見た皆既月食であるが、日本国内で雲がないところでは、同じ時、同じように見えたはずだ。

この赤っぽい色加減は、地球の大気状態が大きく影響を与えて変化するとされている。大気状態とはいっても、月の光が我々の眼に映るまでの間の大気の影響ではなく、月を照らす光源についての影響の方である。

仮に地球に大気がない場合、地球の影はただの真っ暗闇になるから、その影に入った月は、ほとんど見えないはずだ。しかし、実際には地球に大気があるため、そこを通過する太陽の光が少々内側にも曲がり込み月まで届く。地上でも大気があるから、日が沈んでもしばらく明るさが残るのと似ている。ただ、地上での夕日の色がそうであるように、大気を斜めに長く通過した光は、青い光が散乱で失われ、赤っぽくなるというわけである。

つまりは、この色の正体は、地球の夕焼け色が月に映ったものということになる。
そして、大気の状態によって変化するというのは、地上の火山噴火等の影響で、大気中の塵の量が変わると、通過光量や発色に影響するということである。

この色加減については、フランスの天文学者アンドレ・ダンジョン(1890-1967)が、独自に用いた尺度「ダンジョン・スケール」が、皆既月食の色を表すのによく使われている。

ダンジョン・スケールは、暗いほうから、黒、褐色か灰色、暗い赤、明るい赤、オレンジ、という5段階に、それぞれ0~4の尺度が割り振られるが、月の色や明るさは、目で見ても分かることである反面、数値化は個々人の感覚になるので、色見本でもみておいたほうがよさそうだ。

ところで、月食の赤っぽい色は、日没後の残照に少し照らされた顔と似たようなものということになるわけだが、ひとつ大きく違うのは、月は大気の中にはいないということである。
皆既月食のとき、月面で見る光景はどんなものなのだろうか。
月には大気がないから、地上で見上げる夕焼け空のような色付く空はない。真っ暗な空に地球が浮かび、その地球の周囲のごくわずかな薄い大気の領域が、リング状に赤々と結構な明るさで輝いてでもいるのだろうか。
その姿は、赤くて少し暗い金環食(日食)みたいな感じをイメージしているが、一度、画像でもいいから見てみたいものだ。

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