~見たところかなり自然です~
家から出てすぐのところ池があり、水辺にはたくさんの鳥たちが集まってきて楽しませてくれる。きれいでかわいらしいカワセミが一番の楽しみではあるが、カワウやダイサギなどの大型のものもなかなか楽しい。
常時この池で陣取っているアオサギが一羽いる。アオサギは、とても大きなサギで、この池にくる鳥では多分最大で、とても風格があるが、結構警戒心も強く、あまり近くまで寄って観察することはできない。
アオサギの「アオ」は灰色を指すらしく、体の背面はやや青味がかった灰色。体長が首を伸ばすと90cmくらいもあり、翼を開ろげると1.8mほどにもなる。ちょっとツルっぽい感じもあるが、首を折り曲げて飛ぶ姿はまさしくサギそのものであり、日本にいるサギ類の中ではもちろん最大である。
先日、カワセミを観察していると、アオサギのいつも陣取っている場所の近くで、ダイサギが景気よく餌を摂っていた。この真冬に小魚がいるのか。それとも泥の中から小虫をつついているのか定かではないが、こごんで水辺をつついてはゴクリ、つついてはゴクリと、なかなか採取の確率はいいようだ。
アオサギには、これが面白くないらしく、翼を大きく広げて近寄づいては威嚇し、ダイサギを追い払おうとする。ダイサギもアオサギよりは少し小さいものの、白鷺の中では最大級。いったん逃げてはいくが、すぐちゃっかりと戻ってくる。互いにバタバタと翼を拡げあっての大物同士の争奪戦は、見ごたえもあった。
そうこうしているうち、なにかの音に驚いたか、それとも私の姿を悟られたのか、ふいにアオサギが池の中心方向へと真っ直ぐ飛び立った。いつもはこのまま、対岸の樹の中ほどの枝に止まるのが常であるが、この日はちょっと経路が違う気がした。そして、あらら・・・あまりに思わぬことだったので呆然と見ていたが、池の中心付近に、水鳥たちのように降りてしまった。
アオサギは水辺というものなしには存在しないものの、シラサギ同様に水を泳ぐことはしない。水かきのない足を見ればそういう鳥でないことは明らかである。しかし、目の前で悠然と、ぷかぷかと泳がれてしまうと唖然とするほかない。
超望遠レンズ装着でカメラを構えていたし、飛んでいる姿をファインダーで追ってさえいたのに、水に落ちそうなのにびっくりして裸眼になり、問題の着水シーンでは、既に目が点になっていて撮れずじまいである。
アオサギが泳ぐらしいことは、ネット上などでも、目撃が取りざたされているようである。ひょっとすると長い足で、比較的浅瀬を蹴って動いているのではないかともいわれるようだが、どうも、今回目撃した着水地点あたりが、それほど浅いとも思えないし、すぐ近くをカワウが泳ぎ、潜水を繰り返していたくらいである。
だいたい水上での動きがあまりにスムーズであり、少なくとも、体重は完全に水に任せていて、かろうじて足の先が推進力を与える程度だけ水底まで届いている可能性を残すくらいで、むしろ、自力で水をかいて泳いでいるといった方が自然に見えた。
それにしても、当たり前に見える自然風景も、こんな風に、たまに驚かせてくれるものである。アオサギは暫しの遊泳を楽しんだ後、驚いたことに水から直接飛び上がり、再び飛んでいつもの陣地に戻ってきた。
「カワウといっしょに泳ぐアオサギ」「ダイサギを追い回すアオサギ」→四季の扉、九色の窓(アオサギって泳ぐんですね)
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